こんにちは。行政書士の岸上隆一です。
このブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、設立前に決めることの締めくくりです。
「資本金」と「事業年度」の決め方についてご説明します。
新会社法によって、資本金は1円でもよくなりました。
でも、本当にそれでいいのでしょうか?
今回はそこから考えましょう。
◆ 資本金
皆さんは「資本金1円」の会社って信用できますか?
もちろん、それだけが会社の評価基準ではないと思いますが、
もし何か取引する時、同じような2つの会社があって、
その1つの資本金が1円だったら、もう一方の会社を選びますよね。
また、資本金は、事業を始めた時の当座の運転資金でもあるわけなので、それが1円だと普通はすぐに資金ショートになってしまいます。
役員が立て替えたとしても、1年目から利益を出さないと、
決算で債務超過になりやすいです。
そうなると、財務指標が悪くなり、融資が必要になっても、
金融機関からの評価が厳しくなりますので、要注意です。
その意味では、資本金はできるだけ多く、というのが望ましいです。
ただし、1,000万円以上にしてしまうと、初年度から消費税の
課税事業者になってしまいます。
1,000万円未満であれば、設立後2年間は消費税が免除されます。
ですので、目安としては、運転資金の3~6ケ月分で、
ザックリ言うと300~900万円の間で設定するというところでしょうか。
なお、資本金は現金の他に現物出資も可能です。
現物出資とは、財産的価値を有する物を提供することにより
出資を行うことです。
現物出資の総額が500万円以下の場合は、
その財産価値評価についても、検査役の調査や専門家の証明などの
手続きは不要です。
資本金が決まったら、「1株の金額」と「発行可能株式総数」を決めます。
「1株の金額」については、以前は5万円以上という規定がありましたが、
現在はそのような規制はありません。
ただ、その名残からか「1株5万円」としている会社が多いです。
次に、「発行可能株式総数」ですが、
これは、設立後の増資による株式発行の限度を表すものです。
これについては、「設立時の発行株式が発行可能株式総数の4分の1を下回ることができない」という制限がありますので、設立時の資本金と1株の金額から逆算して決めるケースが大半です。
ただし、株式譲渡制限会社には、この制限はありません。
◆ 事業年度
事業年度の決定は、主に決算月をいつにするかという検討です。
会社設立から単純に1年とするのではなくて、
考えるべきポイントがあります。
まず、事業の繁忙期と決算月はずらすということです。
株式会社は決算日から2ケ月以内に決算申告をしなければなりません。
決算申告までの作業、準備は結構煩雑ですので、本業が忙しいときにこの作業をしなくてもいいように決算月を決めた方がいいです。
また、初年度ができるだけ長くなるように配慮することも必要です。
会社の初年度業績を少しでも良くする可能性をつくるためと、
前述した消費税の免除期間をできるだけ長くするためという観点です。
以上、4回にわたって、設立前に決めておくことをご説明しました。
9つの項目がありましたので、是非もう一度ご自分でも整理しておかれることをおススメします。
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いよいよ、株式会社設立は次のステップに進みます。
次のステップは、これらを反映させた「定款」を作成して、
公証人役場で認証してもらうことです。
次回は、その「定款認証」の手続きについてご説明します。
それではまた次回。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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